不動産のことを生業とするうえで、大事なことのイロハの「イ」はなんでしょうか?
僕なりの見解ではありますが、それはズバリ「登記簿謄本が読める」ということです。
登記簿謄本を「読む」とは?
登記簿謄本ですが、正式には登記事項証明書と言います。
対象物件の土地の履歴、また現在の状況が分かります。
- 今の持ち主は誰なのか?
- その持ち主の住所は?
- その不動産に誰かの権利はないか?
- 借金がどの程度あるか?
- その借金の担保に、当該物件以外のものをつけていないか?
とまあ、ざっくり書くと、このような事象が分かります。
登記簿を読むことで分かること
そして、僕らは不動産を見るときに、この登記簿を見ることで、いろんなことを読み解きます。
もちろん、現在この不動産がどのようになっているかもありますが、記載されていないことで見え隠れするものを見ます。
特に表れるのは、所有者の性格です。
神経質な人は、きっちり登記をおこないます。
いい加減な人は、古い情報のまま放っておく場合も。
中には多分会計士とかに入れ知恵されたのか、複雑怪奇な権利関係に。
たくさんの相続人に分散されている場合は、まとまらない難しい状況なのか?とか。
書いていること以外の部分を見ることも重要なのです。

登記簿を見ないブローカーのおっさん達
ちなみに、ネットフリックスのドラマ「地面師たち」でも出てきた「不動産ブローカー」という存在。
実際にこの仕事をしていると、仲介業者ではなくブローカーのおっさんも多くいます。
まともな人もいますが、ええ加減な人も多い。
中には、物件資料を持ってきますがコピーのコピー。
ついている登記簿謄本が2年前のものなんてこともザラにあります。
「登記簿古いですよね」と聞くと、「なんも変わってないって聞いている」とのこと。
ようは、自分で直近の登記簿は調べずに、その情報を持ってきているのです。怖。
そんなときは、知らん顔して最新のものをすぐに取り寄せ「裏取り」を必ず僕はおこないます。
でも絶対ではない、登記簿謄本
しかし、ここで注意しておくことがあります。
登記簿とは「自分の権利の第三者対抗要件」です。
不動産売買をしても、登記を移転するかしないかは、実は自由です。
しなくても構いません。
しかし、登記をしない限り、他の誰かに「この不動産は俺のもの!」と証明するものがないのです。
そこに住んでいる=所有の証明ではありません。
まあ、そうしたことが無いように、仲介業者がいるような取引や住宅ローン・融資を使うような取引では100%移転登記をおこないます。
そんな大事な登記ですが、登記を行わずそのままになっているケースがあります。
相続や、住所変更です。
例えば、田中徹太郎という人が登記簿で所有者となっている。
その登記原因を見ると、昭和51年相続となっていたとする。
約50年前に相続を受けた田中徹太郎も、もう高齢で死んでいるのでは?また、住所も変わっている可能性も。
と、いろいろ考えることがあるのです。
まとめ
このように、登記簿を見ることは、その不動産に係わる人々のいろんな情報を知ることができます。
よって、不動産の仕事をする上では、登記簿を「読む力」がイロハの「イ」だと考えるのです。
最初は「何を書いているか、よう分らん」となりますが、経験を積むと登記簿を見ることが、ひとつの物語を読むように楽しくなるものです。